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[412] 定款変更と租税措置法等の解釈による税務リスク発生の可能性
日時: 2017/01/13 10:33
名前: 白岡 ID:HPnobyGE


顧問税理士が税理士の会合に出たところ、定款変更にともなって税務リスク発生の可能性が示されたとの情報提供がありました。あくまでリスク発生の“可能性”ですが、その解釈に間違いはないように思えますので、参考までにお知らせします。

昨年11月11日に厚生労働省が定款例の通知を出すと同時に事務連絡として「社会福祉法人制度改革の嗜好に伴う定款変更に係る事務の取扱いについて」(社会援護局福祉基盤課)が出されています。
ttp://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000142664.pdf
それには租税措置法第40条第1項の適用を受ける場合に、定款例の一部を修正する必要があると示されています。これは、個人が土地建物などの現物を社会福祉法人に寄付した場合、その財産の取得時から寄付時までの値上がり益がある場合に課税対象となるのを、一定の要件(その要件のひとつに定款の要件)を満たす場合に非課税とするものです。

上記事務連絡では、その特例を受ける場合には、とあり、今後特例を受ける場合に必要となるように読めます。
ところが、一部税務関係者の解釈では、定款例のとおりの定款にすると、過去の租税措置法第40条第1項の非課税の承認が取り消され、当時の寄付者ではなく寄付を受けた社会福祉法人を個人とみなして所得税が課されるのではないか、というのです。あくまで定款変更等により要件を満たさなくなった日現在の課税ですので、時効の適用はないという考え方で、たとえ何十年前の寄付であっても、定款例のとおりの変更をしてしまうと、「社会福祉法人に対して、当時の寄付者が課税されるべきであったみなし譲渡所得の所得税が課税される。」ということになる可能性があるということです。

また、現金寄付を受ける法人に対しても、それが社会一般程度の寄付を超えるくらいのものであれば、その寄付について法人に贈与税が課税されるリスクがあり得ると考えられるとも付されています。これは相続税法第66条第4項の課税ですが、それぞれの税法の定款要件が同じなので、定款が租税措置法第40条第1項を満たさないということは、同時に相続税法第66条第4項も満たさないので課税が発生するのではないかという議論です。

※相続税法第66条第4項の要約
持分の定めのない法人(社会福祉法人等)に対し財産の贈与等があった場合において、当該贈与等により当該贈与等をした者の親族等の相続税または象用税の負担が不当に減少する結果となると認められるときは当該法人を個人とみなして、これに贈与税等を課するとするもの。

これらのリスクがすべて回避され、何の対応もしなくていいと言う事も考えられますがその反面、最も厳しい対応ということであると、過去に現物での寄付を受けた法人などは、厚生労働省の事務連絡にあるような、租税措置法第40条第1項の適用を受けられる定款に、今からでも変更しないと4月1日に莫大なみなし所得税が課されるかもしれないということです。

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落としドコロは、やはり「経過措置」でしょう。 ( No.3 )
日時: 2017/01/16 19:52
名前: 通りすがり1000 ID:tRijRtRY

白岡さま。
ご提示頂いた「税理士よりその会合で配布された資料」を読ませて頂き、当方の手続きで何ら問題がない事が分りました。有難うございます。
「定款例通り」というのは、「租税措置法第40条第1項の適用を受ける場合の定款記載が、無いもの」という事だったのですね。

また、
> 旧定款準則では、そのままで措置法の特例適用になっていて、当時の財務省もその確認を厚生労働省にしています。
> ですが、新定款例では、そのままでは措置法の特例適用にならず、別の事務連絡に従って必要な修正をしないとダメです。
このご回答で、これまでの定款に記載が無い状態でも問題がない事が理解できました。

今回の改正では、記載内容の文言を一字一句まで指定した「定款準則」では無く、あくまで「定款例ですよ」としたために、こうした問題が発生する事に成ったと推察できます。
法・制度の構築という点では、詰めが甘いと言えますね。

行政の無謬性の固執ゆえでしょうが、後から気付いたので、分りにくい表現でさらっと流して必要ならばやれば?と、「誤魔化している」と言っても過言ではないでしょう。
一方、当方の管轄の保険者等では、その事務連絡を受けて、
◆全法人に共通な記載部分
◆法人個々の要件による記載部分
◆会計監査法人を置く法人向け記載部分
◆租税措置法第40条第1項の適用を受けたい法人向けの記載部分
と、章建て条建てまで含めて色分けした文字で、定款丸ごと記載した形で、必要に応じて取捨選択して法人の情報を当て嵌めて行けば良い様に、情報提示して頂けましたので、非常に判り易く、定款作成も容易でした。


本件で問題と成る法人は、既存法人でこれまで評議員会を設置していないなど、今般の法改正で経過措置によって4人の評議員選任で済ませている法人が対象でしょう。
租税措置法第40条第1項の適用を受ける場合の定款には、「理事数を上回る評議員数」の明示的記載が必要ですが、理事数として最低6人必要で、評議員は7名以上いないと定款違反と成りますから。
評議員数を満たしている法人ならば、定款変更の文言追加を清々と進めれば何とかなります。
評議員会で審議すべき内容や、そのために回数を増やさざるを得ないという課題は有りますが、これまでに評議員会を設置していた法人からすると、審議すべき内容、回数や事務手続き、そして根本の評議員へお願いする事柄が、基本的にこれまでと全く変更が無いと言っても過言ではないですし。
定款例からの目論見で、評議員会の回数を減らせられる、と思っていた事からすると肩透かしですが。

経過措置で「評議員は4人で良いですよ」とずっと言って来た厚労省からすると、今更それを変える訳にも行かず、かと言って、何もさせずに租税措置法適用させるのも、法の運用上宜しくない。
そのジレンマが起こした、事務連絡レベルでの分りにくい表現。「今後」租税措置法第40条第1項の適用を受けたいならば、と逃げを打っている。
片や、ちょっとでも楽をしよう簡便で済まそう、と考えた社会福祉法人は痛手かも知れません。
が、どっちもどっちという気も。


落としどころとして、また「経過措置」を置くのが現実的ではないでしょうか。
いつまでに定款に措置法適用のための文言追加をしなさい、それ以降は課税する、と。


私的な意見が過ぎましたか・・・
白岡様。この度は情報提供とご回答、有難うございました。それではこの辺で。

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