セクハラ行為は第三者提供の制限の例外となるか ( No.6 ) |
- 日時: 2018/06/20 20:57
- 名前: ヘルパー4級 ID:odsUKvN2
- ●個人情報保護法に適合しない個人情報の第三者提供には懲役・罰金刑のリスクが
社会福祉士及び介護福祉士法 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S62/S62HO030.html
第四十六条 社会福祉士又は介護福祉士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。社会福祉士又は介護福祉士でなくなつた後においても、同様とする。
第五十条 第四十六条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
それにしても「e-Gov法令検索」ですが、随分とサイトの利用価値を低下させるようなCMSを導入しましたね。それでURLは示しませんが、「個人情報の保護に関する法律」にはこうあって
第十五条 個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的(以下「利用目的」という。)をできる限り特定しなければならない。 第十六条 個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。 3 前二項の規定は、次に掲げる場合については、適用しない。 一 法令に基づく場合 二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。 三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。 四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
とあるので、「セクハラやったら事業所同士で悪質な利用者のブラックリストに載せて共有するからね」という目的で個人情報を取得していると解釈できる契約など交わす事は無いでしょうから、個人情報保護法上は他事業者すなわち第三者に提供できません。一方、「国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者」に関しては、地域の介護福祉事業の遂行のためセクハラ利用者の情報を渡すことは可能と、私は解釈しました。
個人情報保護法は概論過ぎて実際にはこれだけでは判断に困るので、監督省庁ごとにガイドラインが出されています。
福祉分野における個人情報保護に関するガイドライン (p.24 およびその前あたり) http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000112849.pdf
<2 第三者提供の制限に関する例外【法第23条第1項関係】> 次の各号のいずれかに該当する場合については、1の規定にかかわらず、 個人データを第三者に提供することができる。
A 人の生命、身体又は財産の保護のために個人データを第三者に提供する 必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき (例) ・ 急病となった場合、医師や看護師に対し、福祉関係事業者が状況を説 明する場合 ・ 福祉関係事業者が、暴力団員に関する情報を第三者と交換する場合
例えば「ヘルパーが胸を揉まれた」といったセクハラ行為が、福祉分野における個人情報保護に関するガイドラインにある「人の生命、身体又は財産の保護のため」の、「暴力団員に関する情報」に準じたものと解釈できるか、ですね。訪問先に重い認知症の家族がいて殴られそうになった、などであれば問題ないでしょうが。
まとめますと、行政に対しては個人情報保護法からセクハラ等を起こす問題利用者の情報提供は可能、いっぽう事業者間でブラックリストとなりますと、個人情報保護法からは第三者提供できるとは解釈できない、ガイドライン上からは微妙(灰っぽい感じ)ですね。だから行政が問題利用者の把握と事業者への注意・警告をしてくれる、というのが現行法上はスムーズです。ただ、「そこを何とかするのがプロだろう」的な、事なかれ主義の行政だと、個人情報保護法に反して事業者間でブラックリスト共有するしかないですかね・・・でもそうすると最高刑懲役一年とある法律に抵触する恐れですか。厳しいですね。
ヘルパーは、滅多に男がやらない程に収入が低く、挙句に利用者から性的なサービスまで要求されて泣き寝入り、では辞めるでしょうね。
なお他の福祉事業者に情報を出す事は第三者提供であるというのはガイドラインを読めば自明ですので、「同業他社は第三者ではない!」のような意見でしたら、結構です。
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