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[1286] 厚労省が忍ばせた追加資料 社保の高齢者負担増へ思惑 (7/10、日本経済新聞朝刊)
日時: 2018/07/10 09:51
名前: ina ID:MFLvKOEs

5月25日、医療保険制度改革を議論する社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会。参加者の一人は「医療保険制度をめぐる状況」と題した配布資料を見てつぶやいた。

5月19日の前回会合で厚労省が同じタイトルの資料を配ったが、そのときよりも4ページ増え、105ページになっていた。追加分の3ページを割いて「現役並み所得者を巡る制度の現状」「これまでの改正の経緯」などが記されていた。

公的医療保険の場合、75歳以上の後期高齢者の負担は原則1割だが、現役並みの所得がある人は3割負担に引き上げられる。部会にメンバーを出している団体の幹部は「『現役並み』の対象を拡大する議論を始めるのに、当初から検討課題になっているようにみせるために追加したのではないか」といぶかる。

実際、4月の会合と5月の会合では政府内の状況が変化していた。今年の経済財政運営の基本方針「骨太の方針」づくりの議論で、「医療・介護における『現役並み所得』の判断基準を現役との均衡の観点から見直しを検討する」との文言を明記する流れになった。同省幹部は「骨太にも盛り込まれそうな情勢になってきたから、後々のために資料を追加しておいた」と打ち明ける。

5月の会合の資料で、追加されていた4ページ分の残り1枚には何が書かれていたのか。表題は「国民負担率の国際比較」。国民負担率とは、国民所得に対する国民全体の租税負担と社会保障負担の合計額の比率を指す。日本の順位は34カ国中で28位。60%を超す欧州諸国とは差があり、割合は約43%だ。

わざわざ国民負担率の資料を追加したのは「日本にはさらなる負担増の余地があり、かつその方向での改革が必要」(厚労省幹部)というメッセージを込めているという。

与党の厚労族議員や関係団体に配慮し、財務省などから「負担増から逃げて、及び腰だ」と批判されるイメージが強い厚労省。だが、毎年のように国民負担を求める改革に取り組んでいることも否定できない。関係者の突き上げなどで後退することもしばしばあるが、改革の必要性を説く職員は少なくない。ひそかに資料を追加しておくところにも、正面突破は難しいが何とか進めたいという切実な思いがあらわれている。

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