法的には可能ですが、実際には難しい。 ( No.1 ) |
- 日時: 2018/12/22 13:20
- 名前: masa ID:8oOSGwmI
- 従業員が職務遂行上の不法行為によって第三者に損害を与えたため、使用者が使用者責任として第三者に損害賠償を支払ったのちに従業員に求償を請求した場合にも、損害の公平な分担という見地から、信義則上相当と認められる限度においてのみ請求ができるとして、従業員の責任を制限するのが判例です(最高裁昭和51.7.8判決・茨城石炭商事事件。2割5分に限って賠償責任を肯定)。
↑これは介護施設でも同じでしょう。施設にも管理責任や職員の教育義務があり、それを差し引いて個人賠償責任がどれだけ認められるのかは個々の事案によって異なるし、争っても、イメージダウンになりだけで施設側にはほとんど利益がないというのが現状ではないでしょうか。
|
ありがとうございます。 ( No.2 ) |
- 日時: 2018/12/22 13:47
- 名前: GHHG ID:79D5gBcM
- 早速のレスありがとうございます。
当方、吹けば飛ぶような零細介護事業経営者ですが、常日頃からのリスク管理(従業員の教育・管理等)の大切さを新ためて痛感致しております。
|
法律の上では請求できますが・・・。 ( No.3 ) |
- 日時: 2018/12/22 18:30
- 名前: pinko ID:lNi/E1wQ
- わかりやすく書くために正確性は保証できませんが、以下のようなイメージです。
利用者が「この従業員は今仕事で私の世話をしているんだな」と感じている場面において、従業員が不法行為をした結果、利用者が被害を受けた場合、損害賠償を負うのはその従業員です。(民法709条)
しかし多くの場合、従業員は損害賠償を負えるだけの財産はありません。また、従業員が個人的に賠償責任保険をかけていることは多くありません。そこで法律は、従業員を雇って使っている会社に対しても、被害者は損害賠償の請求をすることができるようにしています。(民法715条1項)この条文は <被害者保護の観点。会社は従業員を使うことで利益を出しているのだから、その利益を出す過程で不法行為が起きたのなら、責任も負いなさいという観点> を根拠としています。なお、民法715条1項には会社が責任を負わなくてもよい場面についても書かれています。
では、会社が賠償したお金はどうなってしまうのかという本題については、民法715条3項に「従業員に請求してもいいよ」(求償を妨げない)と書かれています。
つまり、従業員がやってしまった不法行為の責任は本来従業員が責任を負うものです。しかし、現実は従業員が賠償できるだけの財産がないことが多いので、法律は会社にも責任を負わせています。従業員の不始末のために会社は被害者に賠償したのだから、立て替えたお金は返してくれと会社は従業員に請求できるということです。
会社が1000万円を立て替えたから従業員に1000万円請求できるのかという話が、masaさんが回答されたように最高裁判例では、請求額(求償できる額)は制限されるということです。
言葉の意味について補足です。求償とは簡単にいうと「立て替えたお金を返してくれ」という意味です。例えば、Aが銀行、Bが借りた人、Cが保証人だった場面で、CがBの代わりに借金を返した場合、CはBに対して求償権を持ちます。例えば、Aが大家、Bが借主、Cが保証会社の場合、Bが家賃を払わないので、AはCに対して「Bの代わりに家賃を払え」と請求します。CはBの代わりに家賃を払うと、CはBに対して求償権を持ちます。
最後に、従業員が会社(法人)に対して不法な行為(例えば著しく名誉を毀損する行為など)をしたのなら、上記とは別に法人が従業員に対して損害賠償請求ができるのではないでしょうか。
|
参考になりました。 ( No.4 ) |
- 日時: 2018/12/23 09:16
- 名前: GHHG ID:rGRNxaLA
- 続いてのご教示ありがとうございます。
大変参考になりました。 私は施設経営者なのですが、例えば、素行の悪い従業員(現在、当事業所そのような従業員はおりませんが)に解雇通告を行った際、その従業員が腹いせに会社に対して損害を与えた場合、最悪倒産に至るような事を行った場合に、実際に経営者として起こせるアクションは何なのか? 過去にもインターネットでいろいろと調べてみたのですが、介護業界ではどうなのか?ということが知りたくて、スレッドを立てさせていただきました。 本来なら、御回答頂いた内容については経営者として当然知っておくべき知識であると思います。(自分の無知・勉強不足を痛感致しております。) 私の会社は小さな会社ですが、今後も勉強させて頂き、この会社を守っていきたいと思います。
|